―赤と白の魔法―
砂漠では珍しく雲が多い日だった。
陽が隠れていることもあり、涼しく、過ごしやすい1日だった。
その日、風影としての業務を終えた我愛羅は足早に1軒の茶屋へと向かった。
「すまない。遅くなった。」
我愛羅の視線の先には特徴的な白い瞳があった。
白い瞳は我愛羅に気づくと、柔らかく暖かい微笑みをたたえた。
「そんなことないですよ。我愛羅様。」
「・・・そうか。」
我愛羅の目の先には冷めかけのお茶があった。
我愛羅は会計を済ませ、白い瞳を連れ、歩き出した。
白い瞳、砂の里からは遠く離れた木の葉隠れの里が誇る血系限界。
その特徴的な瞳に見つめられると、まるで全てを見透かされているようで不快、苦手に思う者も多い。
だが、我愛羅はその白い瞳とても惹かれた。
なぜならその瞳は我愛羅に優しく微笑みかけてくれた。
我愛羅を化け物ではなく、1人の男として見てくれたのだ。
我愛羅はその白い瞳を手に入れたくて仕方がなかった。
ガラにもなく木の葉のうずまきナルトに嫉妬もした。
そして、今、その白い瞳は我愛羅の隣にある。
「我愛羅様、今日はどちらへ行かれるのですか?」
白い瞳は我愛羅に問うた。
その瞳と同じように白い肌を薄紅色に染めて。
「この間、温室に行ってみたいと言っていただろう。」
白い瞳が大きく見開かれた。
「だから今日は・・・「覚えていてくださったのですか?!」」
我愛羅の声は隣に並んで歩く女の声にかき消されてしまった。
女の白い瞳は驚きと喜びに満ちていた。
「当たり前だ。」
少し照れながらも無表情のまま我愛羅が言った。
そんな我愛羅を白い瞳は愛おしげに見つめた。
我愛羅はくすぐったいような心地よいようなそんな感覚に襲われた。
「・・・さ、さっさと行くぞ。」
「はい。我愛羅様。」
外は曇っているというのに白い瞳は我愛羅の目に眩しく映った。
そして我愛羅は白い瞳に輝いて映った。
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妄想は妄想なんだからなんだっていいよね。。