ヒナタの想い
ヒナタは何がなんだかわからなくなっていた。
今、目の前にいる1人の男。
名は我愛羅。
この世に生を受ける前からその身に砂の化身、一尾の守鶴を宿らされ、周りの者達に忌み嫌われ、本来受けるべき愛情を受けずにたった1人で生きてきた。
孤独と戦ってきた。
我愛羅にとって他人との繋がりは憎しみと殺意だけだった。
それを変えたのが我愛羅と同じく尾獣・九尾の妖狐をその身に宿し、幼き頃から我愛羅と同じ孤独を味わってきた。
ただ1人我愛羅の苦しみを理解できる者。
うずまきナルトだった。
ヒナタは落ちこぼれと言われ、そんな周りを見返そうと何事にもあきらめず立ち向かっていくナルトに憧れていた。
我愛羅はそのことを知っていたのだ。
そしてそのことを知ってなお、ヒナタのことを愛していると。
我愛羅の言葉に嘘はなく、すべてが真実だとわかった。
ヒナタは驚き、焦った。
驚きは我愛羅がヒナタのナルトに対する気持ちを知っていたことに。
焦りはそれによって我愛羅がヒナタの本当の想いを勘違いしていることに。
ヒナタはナルトに憧れてはいるが、恋愛感情はなかった。
確かに、一時期はナルトを男として見たこともあった。
でもそれは愛とかそういうのじゃなくて。
砂隠れに嫁ぐのを嫌だと感じたときもあった。
何も知らない土地、周りにいるであろうは知らない者達。
だがヒナタは砂隠れに来て、我愛羅の優しさに触れ、自分が誰かに必要とされることの喜びを感じ、またそれによって自分が誰かを必要としていると知ることになった。
ヒナタは、ナルトや我愛羅ほどではないが、愛というものを知らなかった。
愛とはなんなのだろう。
ヒナタにわかっていたのは我愛羅が自分を想ってくれるように
自分も我愛羅を想っているということだった。
その我愛羅が自分を愛していると言った。
愛している。と。
「・・・頼む、俺を拒絶してくれ。」
拒絶?どうして?
「でないと俺は、もぅ・・・」
ヒナタは我愛羅に優しく微笑んだ。
「我愛羅くん・・・愛してる。
私も・・・愛しているよ。」
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ワケわからないまま終わります。