テマリンはふと思った


砂漠の真ん中にある砂隠れの里とは違い、四季のある木の葉の里はあたたかい光に満ちていた。
冬の間に積もった雪もとけ、川には魚が泳いでいる。
桜の木も薄紅色の花を散らし、森の中の花畑には蝶が蜜を求めて舞っていた。

なんて綺麗なところだろう・・・

テマリはそんな木の葉の里が好きだった。
今の季節だけじゃない。
夏も、秋も、冬も。
木の葉の里はテマリが一度も見たことがないたくさんのものを見せてくれた。
テマリが今まで知らなかったたくさんのことを教えてくれた。
そしてたくさんのものを与えてくれた。
大蛇丸に騙されていたとはいえ、里を襲おうとした自分に。

テマリは木の葉の里が好きだが、里に踏み入ることに罪悪感を感じていた。
だから、任務で行くとき以外は木の葉の里に近寄ろうとはしなかった。
サクラやイノに祭りがあると誘われた時も。
ヒナタに相談があると言われたときも。
・・・アイツに「お前に言いたいことがある」と言われたときも。

テマリはサクラとイノがせっかく誘ってくれたのを断るのは悪いと思ったが、任務があるといって断った。
ヒナタの相談にものってやりたいと思ったが、忙しいと言い、そのかわり文通をすることにした。
・・・アイツの言いたいことがなんなのかすごく、ものすごく気になったが、それも任務で忙しいと言った。

しかし、アイツはしつこかった。
しつこい上に頭の回転がいい。
その結果テマリは自ら墓穴を掘ることとなった。



「なぁ、アンタ。俺のこと避けてねぇか?」

「避けてなど・・・ない。ただ・・・任務で忙しいだけだ。」

「へぇー。でも、この間カンクロウから聞いた話によると暇そうにしてるらしいじゃねぇか。」

「なに?!!・・・カンクロウのやつあれほど言うなといっておいたのに。。。」

「・・・暇なんじゃねぇか。おぃ。」

「う、うるさい!!・・・別に任務でもないのに木の葉に来る必要はないだろう!」

「ふ〜ん。ま、別にいいけどな。・・・任務だったら木の葉に来るわけだ。」

「当たり前だろう・・・任務は絶対だ。」



気のせいか気のせいじゃないかはわからないが、あのやりとりのあとから急激に木の葉での任務が増えた。
我愛羅から聞いた話しだと木の葉側から「ぜひ、テマリを」とのこと。
任務なのだからテマリは木の葉に行かないわけにはいかなかった。
ふと数えてみると先月は3回も木の葉に行っていた。
いや、今月なんか5回は木の葉に行くことになっている。
しかも、来月からは中忍試験の準備が始まる。
そうなると砂にいるよりも木の葉にいる時間の方が長くなるだろう。

さすがに多すぎやしないか・・・??

裏でアイツが糸を引いているのは明らかだった。
テマリが木の葉に行くと必ずと言っていいほどアイツが世話係だ。
しかも中忍試験の担当も同じだ。

一体アイツは何を考えているんだ・・・

だがそのお陰でサクラやイノと祭りやら買い物やらの誘いを断ることはなくなった。
ヒナタの相談も直接受けることが出来た。
ただひとつ・・・

アイツの言いたいことって何なんだ・・・?



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中途半端ー
でも終了ーー
アイツはもちろんシカマルv